宝島社 『このミステリーがすごい!』 大賞

大賞賞金1,200万円 文庫グランプリ賞金200万円!

第25回『このミス』大賞 1次通過作品 生徒会長の本懐 ―南条・相楽の当て推量―

人間嫌いの毒舌探偵と、お人好しの正義感のワトソンの名コンビ
楽しくてちょっとビターな青春学園ミステリで“友情”を浴びろ!

『生徒会長の本懐 ―南条・相楽の当て推量―』海とジャッカロープ

 中二のときに転校してきた相楽はのっけから人間嫌いを宣言、他人との関わりを拒絶していた。クラス委員の南条はそんな彼を何かと気に掛ける。ある日、クラスメイトが文化祭に出品した工作が壊されるという事件が起き、南条が犯人扱いされる。真相を暴いて南条を救ったのは、人間嫌いで毒舌の相楽だった。それから二年、ふたりは同じ高校へ進学する。そこで南条は生徒会長から、相楽ともども〈解決代行部〉への入部を頼まれて……。
 人間嫌いで毒舌の探偵役と正義感が強くてお人好しのワトソンの学園ミステリ、となると先行作は山ほどあるが、それでも本編の持つ軽やかなおかしみと温かさは大きな強み。主人公二人の会話は読んでいてとても楽しい。こういう会話は訓練で書けるものではなくセンスの賜物なので、そこを買いたい。
 謎解きもちゃんと段階を踏んで、一度で終わらないような構成にしたり、序盤のエピソードが終盤で意味を持ってきたりと、ミステリとしてきちんと読ませる構造になっている。ただ、第5章は簡単すぎる。ヒントが易しすぎ&直接すぎ。この章は再考が必要かも。
 そういったミステリとして弱い部分はありつつも、終盤で見せる「なぜ相楽は人嫌いなのか」の謎と、彼らを解決代行部に誘った生徒会長は何なのかを南条自身が推理し、そして生徒会長に真っ向から刃向かうクライマックスはなかなかのもの。ただの探偵とワトソンのバディものではなく、人を助けるとはどういうことなのか、という大きなテーマを提示しながら爽快な結末に持っていく手法は青春ミステリとしてとても心地いい。
 新味には欠けるが上質な青春ミステリ。何より、彼らの今後をもっと読みたい、と思わせてくれた。

(大矢博子)

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