第22回『このミス』大賞受賞作品 ミイラの仮面と欠けのある心臓

『ミイラの仮面と欠けのある心臓(仮題)』白川尚史

あの世に行くために謎解きをする死者、
という設定が成功している

最終選考委員コメント

「死者が甦る世界でなければ書けない魅惑的な謎に正面から挑んでいる。これだけ野心的な設定を用意して、壮大な物語をきちんと着地させた点は高く評価。このミステリーはたしかにすごい。」
大森望


「現世に蘇ったミイラが何の違和感もなく受け入れられるあたり、落語にも似たとぼけた味わいがあり、思わず吹き出しそうになった。奇想天外な謎作りといい友情溢れる人間関係劇といい大賞の価値あり。」
香山二三郎


「探偵役がミイラ、タイムリミット有り、不可能犯罪のほか謎が散りばめられ、読ませるポイントが随所に用意されている。古代エジプトに興味をもてない方々もぜひ読んで欲しい。」
瀧井朝世


白川尚史(しらかわ・なおふみ)受賞コメント

白川尚史

まずは、選考委員の皆様、選考関係者の方々に心より御礼申し上げます。
今回、作品の舞台となる古代エジプトの世界観に触れる過程で、歴史の積み重ねやそれを解き明かす探求の試みの偉大さを思い知りました。
過去の営みそのものはもちろん、史資料、史跡、それを現代まで保ってきた並ならぬ努力、そしてそれらを今なお研究されている方々に敬意を払わずにはいられません。そうした方々のおかげで我々は歴史を知ることができますし、私はこの作品が書けました。すべての方々に、心からの感謝を捧げます。