第18回『このミス』大賞 次回作に期待 土屋文平

『迷妄者たちの宴』香月裕斗
『月は嗤って見ている』新山貞
 

「迷妄者たちの宴」
 建築会社で東京から長野支店に飛ばされた男が主人公で、そこから話がただただ広がっていく。善光寺の謎解きからこの男は物部一族の末裔と説明を受けて、現代まで続く蘇我一族の世の中をひっくり返すのだという。ここまでわけのわからないホラ話は珍しいから、またいろいろ工夫して挑戦してほしい。

「月は嗤って見ている」
 妻が失踪した男が主人公で、浮気相手とか調べるものの緊張感は少なくて、警察が出てきても話は淡々と進んで最後はこの男が殺人者とわかる。共感できる筋立てではないし、これは他の作品にも共通して言えるように警察が薄っぺらで嘘くさい。まあ、いろいろとひっくり返して驚かせようとする姿勢は評価しました。
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