第14回『このミス』大賞 1次選考通過作品 才羽楽

平凡な大学生の前に現れた謎の美女
彼女が会いに来た理由と“計略”とは?

『カササギの計略』才羽楽

 講義とバイトを終え、アパートに帰宅した大学生――岡部は、部屋の前に髪の長い美女がいることに気がつき戸惑う。すると「ミシェル」と名乗る女性は、いきなり岡部の頬を張り飛ばし、ドアを開けるよう要求。部屋に上がり込むと、以前に約束をしたので会いに来たというのだが、岡部自身にそんな記憶はない。すると彼女は、明日の夜また来るといって出て行ってしまうのだが……。
 どうしても某作家の作品が浮かんでしまうタイトルをはじめ、構成、文章にもいろいろと既視感を覚えてしまう点、凡庸な形容の頻出などマイナスに感じる箇所が目につく。しかし、序盤の謎の設定、会話のセンス、挿話の織り込み方などに光るものを感じた。こうした要素が自然な形で物語を飾り、適度な色づけを成していて、今回読んだ応募作のなかでもっとも感心した。キャラクターの魅力と“どんでん返し”の衝撃がもっと高ければという憾みもあるが、突き抜けた魅力はなくとも本作の手堅い作りは評価したい。

(宇田川拓也)

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