第14回『このミス』大賞 1次選考通過作品 楓蛍

大量殺人を目論む女子高生の運命は?
悪意が悪意を呼ぶ学園サスペンス

『病の終わり、もしくは続き』楓蛍

 中学生時代に義父の性的暴行を受けて人間嫌いになった女子高生・平林美和は、亡くなった弟”ユウちゃん”を神格化し、その囁きに従って”ファイナルプラン”を実行することにした。文化祭の出し物である”わんこ蕎麦”にアルカロイド系の毒物を混ぜ、三十人以上を殺害し、犯人の自分を演出するためにミスコンテストで優勝する──という計画である。いっぽう平林と対立する同級生・倉持穂乃果は、アナウンサーになって本番中に自殺するという将来設計を持っていた。そして「ぼく」は平林に恋心を抱いている。平林は着々と計画を進めるが、その先には思いがけない事態が待っていた。
 モラルの壊れた面々が暗躍し、悲惨極まりない結末を迎える学園サスペンス。一般的なミステリーであれば、平林の思想と行動を”悪意の頂点”に置くところだが、本作はそんなに甘くはない。性的暴行は辛い過去であると同時に、平林のアイデンティティを支える勲章であり、周囲もそれを見透かしている。大量殺戮プランさえも最強の悪意にはなり得ないのだ。
 不快感を抱く読者は多そうだが、醜悪な人間たちを造型し、濃い悪意とさらに濃い悪意を衝突させ、かくもブラックなラストシーンを作り上げた徹底ぶり──閾値を超える突破力には一見の価値がある。強烈なインパクトを備えた悪夢のような物語として、まずは二次選考に判断を委ねたい。

(福井健太)

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