第13回『このミス』大賞優秀賞受賞 辻堂ゆめ
『夢のトビラは泉の中に』辻堂ゆめ(つじどう・ゆめ)
【あらすじ】
目を覚ました梨乃が見たのは、自らの訃報。
生きている梨乃の姿も、人々の目には見知らぬ女性として映る。
たった二人の例外をのぞいては……。
最終選考委員コメント
「設定の斬新さだけでA評価。すべての疑問にきっちり(超自然設定の本格ミステリー的に)理屈がつくところがすばらしい」
→ 大森望
「主人公の死をめぐる謎の構成はしっかりしているし、枚数を費やしてしっかり書き切った筆力にもただならぬものがある」
→ 香山二三郎
「不可解な状況に突如放り出された主人公の、戸惑いと冒険を描く瑞々しい筆致は、賞賛すべきレベルにある」
→ 茶木則雄
「読み心地がよく、作者がまだ二十代はじめという年齢とは思えないほど十分に書けている」
→ 吉野仁
辻堂ゆめ(つじどう・ゆめ)受賞コメント
作家、という言葉を親から教えてもらったのは、四歳のときでした。「大きくなったら、サッカになりたい!」と幼稚園で言ったら、周りの男の子たちに「えー、女なのにサッカー選手―?」などとからわかれたのは今や良い思い出です。学生の優秀賞受賞は初……ということらしく非常に恐れ多いのですが、読み終わった後に何か心にあたたかいものや考えさせられることが残るような、そんな『ミステリー』を書いていけたらと思っています。