第13回『このミス』大賞 1次選考通過作品 真実(まみ)の恋
会社のために尽力していたひとりの男の死
犯人は何者で、どのように犯行に及んだのか?
不思議な能力を持つ真実(まみ)が追う
『真実(まみ)の恋』AN
会沢秀雄は、インスツルメントシステム社の営業部長代理である。彼の勤める外資系メーカーでは、日本法人がなくなろうとしていた。会沢は日本法人を存続させようと、生き残りを掛けてプロジェクトを進める。だが会社の重役である黒澤直樹は会沢のプロジェクトに反対していた。
そんな中、駅のトイレで会沢の死体が発見される。胸には、バタフライナイフが刺さっていた。
凶器から黒澤の指紋が見つかり、疑われる。だが当日、黒澤のいた場所からの移動時間ゆえ、犯行は難しいと思われた。
営業部の若い女性社員で会沢を慕っていた白貫真実(まみ)は、インスツルメントシステム社のコンサルタント業務を行っていた柿崎卓を巻き込み、事件を調べ始める。柿崎は、真実が特殊な能力を駆使し、次々に情報を集めていくのを、目の当たりにする……。
本作は、ちょっと説明がしにくい。殺人事件の謎を追うミステリでありながら、ちょっと不思議なところもあり、一筋縄ではいかない作品なのだ(そしてそこが魅力である)。
その「不思議さ」はもちろん、真実というキャラクターの存在ゆえである。単なるフーダニット、ハウダニットにとどまらず、特別なスパイスをちりばめた味わいとなっている。彼女自身が謎の存在であり、それもやがて明らかになっていくのだ。
ただ、冒頭部分が、少しページをめくらせにくい。真相を伏せるためであろうが、この部分は少し書き直した方が良いかもしれない。
また、「AN」というペンネームは、単行本にする場合、商業的にちょっと難しいだろう。特段のインパクトがあるわけでなく、よほどの理由がなければ改めた方が良いと思う。
(北原尚彦)















