第11回『このミス』大賞 優秀賞
『童(わらし)石をめぐる奇妙な物語(仮)』 深津十一(ふかつ・じゅういち)
(応募時タイトル:『石の来歴』)
【あらすじ】
祖母の奇妙な遺言を托された少年は、石コレクターの老人に出逢い、
生物教師とともに謎めいた世界に惹かれていく。
石をモチーフにした穏やかな幻想譚。
【最終選考委員コメント】
「伝奇ホラー的な要素も交えた幻想ミステリ。次々に登場する奇妙な石はそれぞれ魅力的。」
→ 大森望
「奇岩が発掘されるプロローグからして魅力的。序盤の展開も読ませる。」
→ 香山二三郎
「何より素晴らしいのは、卓越した語りのテクニックと表現力である。摩訶不思議な奇石の世界観が、実に新鮮であった。」
→ 茶木則雄
「冒頭から作品世界に引き込まれてしまった。語りが見事。ドラマを描く力はすでにプロ並みである。」
→ 吉野仁
深津十一(ふかつ・じゅういち)受賞コメント
今回の作品を書くにあたって強く意識し目指したのは、自分にしか書けない物語にする、ということでした。
その結果として生まれたちょっと風変わりな作品は、募集要項に記されている「エンターテインメントを第一義の目的とした広義のミステリー」の「広義」という部分に救われたのではないかと想像します。
今、こうしてスタート地点に立てたことを素直に喜び、この先いつまでも走り続けなければと決意を新たにしています。