第11回『このミス』大賞 1次通過作品 2Days with 死体 in 冷凍庫

誰にも知られず娘を殺し、死体を冷凍庫に隠したはずが、
なぜか真相を知るXに脅迫されて……。
脅迫者Xは誰なのか? 哀愁を漂わせた倒叙スリラー

『2Days with 死体 in 冷凍庫』 木元カナタ

 万引きで捕まった高校生の娘・咲希を警察から引き取り、その背中にタトゥーを見た一級建築士・榎本義徳は、衝動的に彼女を扼殺してしまう。強盗致死事件の容疑者として咲希が追われていることを知った榎本は、死体を解体して冷凍庫に詰め、辛うじて知人たちから隠すことに成功した――が、そこへ「あんた、娘、殺したろ?」「1000万円用意しろ」「遺体の処理を引き受けてやる」という脅迫電話が届く。脅迫者Xの正体は誰なのか? そして榎本が選んだ結末とは?
 殺人までの経緯はあっさりと書かれており、死体を隠そうとする場面は(ベタではあるが)シチュエーションものとして楽しめる。中盤以降は脅迫者探しの興味も加わり、物語は一気にラストまで突き進んでいく。次々にフェイズを切り替えることで、読者を飽きさせないプロットこそが本作のアピールポイントだ。一応の推理に基づく意外な真相、咲希を妊娠させた男をめぐるドラマ、榎本の決意と末路などを整理し、コンパクトに纏めた手際の良さにも注目すべきだろう。
 死体の処理法、脅迫者の言動、推理の根拠などに疑問を挟むことは可能だが、ここではサスペンスの牽引力――つまりは“読んでいる間の面白さ”を重視したい。この認識は本賞の趣旨にも沿うはずである。

(福井健太)

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