第11回『このミス』大賞 1次通過作品 オレ様先生

残留思念を読む少女と、利己的な高校教師。
2人の捜査と恋愛を綴った
王道のエンターテインメント・サスペンス!

『オレ様先生』 あいま祐樹

 大学の心理学講師を務める「俺」こと渋谷一樹は、付属女子高校の数学教師に任命され、文化祭で男に襲われる生徒・二ノ宮莉音を助け出した。そして翌年――旧知の捜査一課刑事・今尻に呼び出された渋谷は、そこで二ノ宮と再会し、彼女とコンビを組んで誘拐事件を調べろと命じられる。渋谷は特殊な催眠術の使い手であり、二ノ宮は“空間に残された思念”を読み取る能力の持ち主だった。二ノ宮が両親を殺されたことを知った渋谷は、彼女に研究室のアルバイトを斡旋し、やがてその人柄に惹かれていく。男性恐怖症の二ノ宮もまた(ゲイだと勘違いして)渋谷に心を許していくが……。
 傷つきながらも人を救おうとする二ノ宮は、天然系かつ健気なキャラクターに造型されている。「真実が人を幸せにするとは限らない」という信条を持つ渋谷は、自分なりのやり方で彼女を守ろうとする。著者は“頑張る少女の物語”を用意し、それを通じてヒロインを際立たせたうえで、この主人公らしい決断を描いてみせた。性格を映した語り口、感性のズレがユーモアを漂わせる会話など、文章のテンポの良さも好ましいところ。進行中の誘拐をめぐるサスペンス、過去の殺人犯探しなどのミステリー要素を活かしつつ、風変わりなラブストーリーを紡いだ快作である。
 ヒロインが健気に過ぎること――いわば理想化されている点には弱さもあるが、これも娯楽小説としては許容範囲。むしろ各キャラクターの属性とプロットの融合ぶりを評価するべきだろう。

(福井健太)

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