第11回『このミス』大賞 1次通過作品 ライブ・イン・邪宗門

九人を殺した殺人鬼として死刑判決を受けた元警察官が、
動き回る死体として復活した。
警察官では立ち向かえない相手と戦う、ダーク・ヒーロー誕生!

『ライブ・イン・邪宗門』木月雪行

 いま正に絞首刑に処されようとしている男、煤木田彰吾。彼は警察官だったが、職務執行時に正当防衛の名のもと、8人もの人間を射殺した。だが9人目の吾妻達之は、それまでとは違っていた。権力者の親族だったのだ。この一件は、正当防衛ではなく意図的な殺人として裁判所で判定された。そして彼は九人の人間を殺害した殺人鬼として裁かれ、死刑判決を受けたのだ。
 死刑執行当日、煤木田の上司だった煙崎警視監が訪れた。彼こそ、煤木田を見殺しにした人間だった。別れ際、煙崎警視監が煤木田に残したのは「待っているぞ」という言葉だった。
 その言葉に、偽りはなかった。死刑執行後、煤木田の死体は極秘裏に移動される。そして実は秘教の継承者でもある煙崎と、霊能力者の女性・九鬼紫緒李との力で、煤木田の死体にその霊魂を戻した。かくして煤木田は復活した。但し、動き回る死体として……。
 冒頭、いきなり死んでしまう男が主人公なのである。死から復活した元警官が、通常の警察官では立ち向かえない相手と戦う、一種のダーク・ヒーロー物だ。アクションは、これでどうだと言わんばかりにてんこ盛り。美女も登場し、怪しいシーンもたっぷり。
 作者は映像ディレクターをしている方ということで、確かに映像的である。スピーディーさや迫力も満点。おかげでさくさくと読めた。またキャラクターも、脇役(煤木田を手伝う刑事とか)に至るまで、よく描かれている。
 対決の構図など、メインとなるストーリーがちょっと一直線すぎるきらいはあるが、エンターティメントとしての出来は充分な、伝奇ホラーアクション小説だ。

(北原尚彦)

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