第8回『このミス』大賞 次回作に期待 宇田川拓也氏コメント

『該当作なし』

宇田川拓也コメント

 今回初めて1次選考にたずさわるにあたり、私にはちょっとした期待があった。それは「作法はメチャクチャで物語も荒削りだが、とにかく読まずにはいられないような力強い作品」が読めるのではないか——というものだったが、その期待は現実の前にみるみるしぼんでいった。やはり、基本的作法を心得た文章で紡がれる整った物語こそ優れている、という当たり前のことを、このたび心底思い知らされた。夢は、はかないものである。
 2次選考へ送り出した作品と、残念ながら送り出せなかった作品との間は大きい。だが、その間を埋めるに必要なのは、才能とはまったく別のものだと断言する。これは私のもうひとつの顔——書店員だからいうわけではないが、ぜひ書店で、いま実際に積まれている旬の商品を手に取って、その文章に眼を凝らして欲しい。そこで自分の文章の間違った記号の使い方や不揃いな表記に気付けたなら、それは大きな進歩といえる。些細なことと思うかもしれないが、それに気付いてから紡いだ物語は、きっと以前よりも数段違うものになっているはずである。
 最後に、今後チャレンジされる投稿者のみなさまへ。ぜひ、私たちが頭を下げてでも売りたくなるような渾身の傑作を待っています!

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