第7回『このミス』大賞 1次通過作品
『原発崩壊マニュアル』黒神賢/巧
本作は合作だが、応募書類を見たところ作者はどうやら親子らしい。親子合作、というのは結構珍しいパターンだ。
海上保安庁から出向している機動隊員・金木富郎は、海上勤務を希望しているにもかかわらず、隼山原子力発電所を警備する中隊長を命ぜられてしまう。その頃、イエメン生まれの二ザールという男が数十年ぶりで祖国へ帰った。だが故郷の地は、米軍の攻撃時に破壊されていた。ニザールは、米国及びそれを支援した日本に対して復讐することを誓った。
それ以降、日本国内では毎月末にテロ攻撃が行われるようになった。首謀者はアリという男だが、その仲間の中にニザールの姿もあった。やがてアリは、原発への攻撃を考え始める。その標的こそ、隼山原発だった。
ジャーナリストの片山美湖は、ほんとうは金木富郎と相思相愛の仲にあった。だが美湖はイスラム教徒であるために、異教徒の金木からプロポーズされるシチュエーションを極力避けていた。その一方で、金木を助けようと、イスラムのテロ組織に接触していた。果たして、隼山原発に対する攻撃は、実行されてしまうのか……。
世界が9.11のテロを経験してしまった現在、実にリアルなテーマである。今や、どのようなテロであろうとも、絶対にあり得ないとは言い切れないのだから。原発の構造や運転システム、それに対して可能となる攻撃方法など、かなりよく調べて書かれており、これには感心した。ラスト、意図的に謎めかして終わらせているところがある。ここの判断は難しいところ。続編を考えているものと推測されるが、はっきりさせた方がいいかもしれない。
(北原尚彦)















