第7回『このミス』大賞 受賞作
第7回『このミス』大賞受賞作
『臨床真理』柚月裕子
臨床心理士の佐久間美帆は、勤務先の医療機関で藤木司という二十歳の青年を担当することになる。司は、同じ福祉施設で暮らしていた少女の自殺を受け入れる ことができず、美帆に心を開こうとしなかった。それでも根気強く向き合おうとする美帆に、司はある告白をする。少女の死は他殺だと言うのだ。その根拠は、 彼が持っている特殊な能力によるらしい。美帆はその主張を信じることが出来なかったが、司の治療のためにも、調査をしてみようと決意する。
美帆 は、かつての同級生で現在は警察官である栗原久志の協力をえて、福祉施設で何が起こっていたのかを探り始める。しかし、調査が進むにつれ、おぞましい出来 事が明らかになる。
※授賞時タイトル・筆名:『臨床真理士』・藤木裕子
第7回『このミス』大賞受賞作
『屋上ミサイル』山下貴光
大統領がテロ組織に拉致監禁されるという大事件がアメリカで発生していたものの――日本の高校生たちにとって、それは遠い国の出来事だった。それよりも、 もっと重要なことがある。例えば、校舎の屋上でスケッチをすることだとか。
美術の課題のため、屋上にのぼった高校二年生の辻尾アカネ。そこで、 リーゼント頭の不良・国重嘉人や、願掛けのため言葉を封印した沢木淳之介、自殺願望を持つ平原啓太と知り合う。屋上への愛情が共通しているということか ら、国重の強引な提案で“屋上部”を結成することになった四人。屋上の平和を守るため、通行人を襲う罰神様騒動、陸上部のマドンナ・ストーカー事件、殺し 屋との遭遇などに巻き込まれることになる。それらはすべて、ひとつの事件に繋がっていた!
第7回『このミス』大賞優秀賞
『毒殺魔の教室』塔山郁
那由多小学校児童毒殺事件――男子児童が、クラスメイトの男子児童を教室内で毒殺した事件。加害児童は、三日後に同じ毒により服毒自殺を遂げ、動機がはっ きりとしないままに事件は幕を閉じた。
そのショッキングな事件から30年後、ある人物が当時の事件関係者たちを訪ね歩き始めた。ところが、それぞ れの証言や手紙などが語る事件の詳細は、微妙にズレている……。やがて、隠されていた悪意の存在が露わになり始め、思いもよらない事実と、驚愕の真実が明 かされていく。
第7回『このミス』大賞優秀賞
『霊眼』中村啓
第7回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞受賞作は、強烈なインパクトを持ったホラーサスペンス。主人公・享子は、大学時代の友人・真弓が失踪したこ とを知る。ライターの真弓は、山梨で起きた死体損壊遺棄事件に関心を示し、取材に出かけたまま行方がわからなくなったという。真弓の行方を探そうとする享 子は、次々と不審な現象に遭遇する。やがて幽霊や前世の因縁が渦巻く世界に足を踏み入れることに。そして、霊的な知覚を可能にする「第三の眼」をめぐる企 みに巻き込まれていく……。皮膚感覚のリアリティで読者を圧倒する作品です。