第24回『このミス』大賞 1次通過作品 データで全てはわかりません!
データサイエンス×鉄道(!?)というユニークな組み合わせが光る
主催者不明、出題内容は不可解、けれど賞金は五千万円!
陰謀が隠された怪しげなコンペにデータサイエンティストが挑む
『データで全てはわかりません!』相澤新
奈良市でコンサルタント事務所を運営するデータサイエンティストの田元環奈は、奈良鉄道の社長から、電車が野生の鹿を轢かないための予防策を依頼され、データ分析によって問題解決へと導く。ところが奈良鉄道は廃線を多く抱えており、報酬の支払いが困難に。
そんな折、旧友の黒須から、賞金が破格の五千万円というコンペを紹介される。依頼企業名も伏せられ、明らかにヘンで気が乗らない環奈だったが、経理の稲村群美に高額の経費と奈良鉄道の案件の損失を指摘され、しぶしぶ参加を決める。それにしても、『精度が可能な限り低くなるAIの予測モデルを構築せよ』という奇妙な要件は、いったい何を求めているのか……。
データサイエンスという小難しい題材を扱っているが、ほどよいユーモアとプロフェッショナルな環奈をはじめとするキャラ立ちのよさ、怪しげなコンペをいかにチームで勝ち抜くかというエンタメ度の高さもあり、すいすい読ませる。次第にコンペに隠された企みが浮かび上がってくる話運びも上々で、読み手を引き込むためと思われた序盤の鉄道案件が物語の後半で活きてくる構成もいい。黒幕の動機には正直新味を覚えなかったが、じつはそれも終盤の盛り上げのための演出になっていて評価が上がった。ためらいなく二次に推す。
(宇田川拓也)















