第24回『このミス』大賞 1次通過作品 ミラーリング

アパートの隣同士で起きた密室殺人
事件を追う刑事もまた問題を抱えていた
すべては鏡に写した犯罪なのか

『ミラーリング』ジョウシャカズヤ

 郷田警察署の警部補である川尻は、通報を受け、激しい雨のなか吉永荘にかけつけた。アパートの三〇二号室のドアをけやぶって中に入ると刺殺された女性をリビングで発見。ベランダに閉じこめられていた小学三年生の坂下真衣香を保護した。部屋の死体は彼女の母の早苗だった。真衣香が「隣のベランダにもこどもが閉じこめられている」と話す。川尻が三〇三号室のベランダに移動すると小学四年生の瀬古漣太がいて、室内には漣太の父、孝之が死亡していた。
 警察官を主人公とした警察小説。事件捜査のみならず、主人公自身の家庭の状況をはじめ、さまざまな展開と意外な真相を読ませる力は申し分ない。しかしあえて言うなら、読み終えたときテーマにあわせていくつものエピソードをこしらえつなげている印象も残った。主人公以外の人物の存在感がやや乏しいことも気になる。しかし、ドラマを描く筆力はもう十分にそなえており、少なくとも1次通過のレベルであることは、まちがいない。

(吉野仁)

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