第24回『このミス』大賞 1次通過作品 アナヅラ様の穴場
長野県の都市伝説「アナヅラ様」
その正体は――殺人者なのか?
肉体派の女探偵がハードに謎を追う
『アナヅラ様の穴場』四島祐之介
長野県に「アナヅラ様」なる都市伝説が流れていた。アナヅラ様とは顔にぽっかりと穴があいているバケモノ。そいつは女の子をさらってはさんざんいたぶり、挙句の果てには顔の穴の中に吸い込んでしまう、というのだ。
一方で、県内では実際に若い女性が連続して姿を消していた。噂レベルでは、それら行方不明者はアナヅラ様の犠牲者にカウントされていた。
「ハヤブサ探偵事務所」を営む小鳥遊穂香は、大垣圭吾という男性から「行方不明になった彼女の未散を探して欲しい」と依頼を受ける。大垣は、未散がアナヅラ様に連れ去られたかもしれない、と考えていたのだ。
女性たちが行方不明になってはいるものの、いずれも明確な事件性は確認できないからと、警察は動いていない。穂香は依頼を引き受け、調査を開始する。彼女を助ける事務所員は、穂香に憧れる綾野仁と、事務を担当するメイド長こと早乙女理子。果たして未散は見つかるのか。そしてアナヅラ様の真相とは……。
地方(長野)を舞台にして、一風変わった展開を見せるミステリー。発生する事件の特異性や、不可思議な都市伝説など、いずれも魅力的だ。
キャラクターの造形もいい。特に、事件の謎を追いかける女探偵・小鳥遊穂香――身長は180センチを超え、ボクシングを身につけた肉体派――がいい味を出している。父親や、探偵事務所の面々とのやりとり描写も、人間関係をきちんと浮かび上がらせている。
読んでみると判るが、実は展開のさせ方が非常に難しい作品である。その部分が、うまく工夫して書かれているのには感心した。
もっと褒めたいところもあるのだが、それを書くと色々と明かすことになってしまうので、これぐらいにしておこう。
本作の設定に疑義がないわけでもないのだが、それは作品を成立させるために必要なものだと判断しよう。
(北原尚彦)















