第10回『このミス』大賞 1次通過作品
カフェ『タレーラン』の常連客と、女性バリスタ。
コーヒーの薀蓄豊かに、
バリスタが数々の謎を解いていく!
『また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』 岡崎琢磨
主人公は、無類のコーヒー好き。ある日、喫茶店『タレーラン』で理想のコーヒーと出会う。同店でバリスタを務めるのは、まだ若い女性の切間美星。彼女は鋭い洞察力の持ち主だった。以来、主人公は『タレーラン』に足しげく通うことになる。
ある時、店内で主人公の傘が取り違えられる。なぜ取り違えられたのかという謎を、美星は見事に解き明かせてみせた。それからも何か謎が発生するたびに、美星は推理を披露する……。
一軒のカフェを主な舞台にし、そこの常連となった主人公の身の回りやカフェで起きる日常的な事件を、カフェのバリスタが解明していく、というパターンの連作。コーヒーに関する薀蓄も満載。
そのまま最後までほのぼのと進むのかと思いきや、後半、深刻な事件が発生する。そしてそれは、ストーリー全体にも関係してくるものだった。
雰囲気は非常に良いのだが、肝心のミステリーとしての部分が、やや簡単すぎるのが難点。ミステリーを読み込んでいる読者ならば、大半の謎を見破ってしまうのではなかろうか。後半で用いられるトリック(のひとつ)も、読んでいて「ああ、たぶんそうだろうな」と気づいてしまった。『このミス』大賞は本当に面白いエンターティメントならばかなり広いフィールドの作品を歓迎する。しかしあくまでミステリーの賞ではあるので、そこが弱いと評価を辛く付けざるを得ない。
それゆえ、一時通過させるか否か、とても悩んだ。結局、ぎりぎりボーダーライン上だという判断をし、野球にしてもテニスにしてもオンラインはセーフなので、通過という結論を出した次第である。
(北原尚彦)















