第10回『このミス』大賞 1次通過作品

観覧車で爆発が発生――、犯人の要求は100億円!
家族を救うため、主人公ら遊園地内の人々は
犯人からの過酷なゲームに挑む

『風に揺れる四十八の棺』

 妻子と別居中の貫助は、娘との面会日に訪れた遊園地で事件に巻き込まれる。観覧車の順番を譲ってくれた老人を乗せたゴンドラが、爆発と共に落下したのだ。犯人は園内の外壁に爆弾を仕掛け、五万人の来場者を人質に取った。身代金は百億円。政府が要求をのむまで、観覧車のゴンドラを順次爆破するという。
 どのゴンドラを爆破するのか。それは、乗客を外で待っていた家族などの人々によるゲームで決められる。それは、遊園地の施設を用いた、参加者同士の殺し合いを促すゲームだった。貫助は、妻と娘を救うため、否応なしに命がけのゲームに挑むことになる……。
 ある施設に人質を取って立て籠もり、犯人が外部に要求を突きつける……という展開の作品は少なくないが、本作はそれに『バトル・ロワイアル』めいた殺人ゲームの要素を付け加えてみせた。
 物語の大半は、不穏なゲームへの参加を強いられる貫助の視点から描かれる。その合間に、たまたま園内で独占生中継のチャンスを掴んだTVレポーターや、そりの合わない参事官と衝突しながら独自に犯人を捜す刑事といった人々の動向が描かれる。
 ジェットコースターでの椅子取りゲームなど、派手な展開で目を引く作品である。特に終盤は強引なまでのどんでん返しの連続。整合性よりも疾走感を重んじたせいか、大風呂敷を広げすぎて無理矢理たたんでしまったところもあるけれど、ちょっとした伏線が後からしっかり効いてくる展開を存分に楽しむことができる。
 面白くするためには、少々強引でも手段を選ばない。あの手この手で読者を楽しませようと、なりふり構わず仕掛けを繰り出す作者の姿勢に好感を抱いた。とはいえさすがに乱暴すぎるところもあるけれど、そこは目をつぶって一次通過としておこう。

(古山裕樹)

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