第9回『このミス』大賞受賞作

『完全なる首長竜の日』乾緑郎

乾緑郎(いぬい・ろくろう)プロフィール

1971年、東京都生まれ。鍼灸師の仕事をする傍ら、劇作家として複数の劇団に脚本を書き下ろしている。『忍び外伝』(朝日新聞出版)で、2010年第2回朝日時代小説大賞も受賞し、新人賞二冠を達成。

【最終選考委員コメント】

「ものすごい才能が出現した。めくるめく迷宮感覚と独創性は『インセプション』を凌ぐ。2010年代を背負って立つ、最強の新人だ!」
大森望


「現実と仮想世界を自在に往還してみせる、その文章力、ピカイチ!」
香山二三郎


「奔放な発想力と類い稀な独創性、堅牢なプロットと瑞々しい文章力――群を抜く素晴らしさだ。新人賞応募作に求められる全てが、ここにある」
茶木則雄


「少女漫画家の日常がリアル。そして、哀切な真相に胸撃たれる」
吉野仁


乾緑郎(いぬい・ろくろう)受賞コメント


小説の投稿歴は意外と長くて、いつか賞を獲った時は、きっと飛び上がるほど嬉しいんだろうな、と想像していました。いざ獲ってみると、プレッシャーや不安の方が喜びよりも遥かに大きく、大丈夫か俺、いや大丈夫だ何とかなる、などと自問自答やら内面の葛藤やらで落ち着かない日々を送っています。
スタートラインに並べたことを、今は素直に喜びたいと思います。全てはこれからです。皆様、本当にありがとうございました。