第8回『このミス』大賞
ハイレベルな作品がそろい、エンターテインメント性が高く評価された正統派ミステリーと、新境地を切り開いた異色の問題作の2作品が大賞に、また優秀賞には、軽快な物語世界が評価された1作品が選ばれました。経緯は最終選考委員による選評をご覧ください。
第8回『このミステリーがすごい!』大賞は、350作品の応募があり、1次選考(21作品通過)、2次選考(7作品通過)を経た最終候補の中から、大賞が決定いたしました。賞金につきましては、大賞賞金1,200万円をそれぞれ均等に分配します。優秀賞賞金は200万円です。受賞作品は全て単行本として刊行されます。
また受賞は及ばなかったものの、編集部から推薦する2作品を「隠し玉」として刊行する予定です。 (『このミス』大賞事務局)
第8回『このミス』大賞受賞作
『トギオ』太朗想史郎(たろう・そうしろう)
捨て子の「白」を拾ったがために、大きく狂いはじめる主人公の人生。家族は村八分に遭い、主人公はクラスメイトから生々しく陰湿ないじめを受ける。村を出た主人公は港町に流れ、やがて大都会・東暁〈とうぎょう〉を目指すことに。生き抜くために悪事に手を染め、殺伐とした東暁で地べたを這いつくばって生きる主人公が唯一気にかけていたのは、村に置いてきた白のことだった――。
※授賞時タイトル・筆名:『快楽的・TOGIO・生存権』・太朗荘史郎
第8回『このミス』大賞受賞作
『さよならドビュッシー』中山七里(なかやま・しちり)
ピアニストを目指す遥、16歳。両親や祖父、帰国子女の従姉妹などに囲まれた幸福な彼女の人生は、ある日突然終わりを迎える。祖父と従姉妹とともに火事に巻き込まれ、ただ一人生き残ったものの、全身火傷の大怪我を負ってしまったのだ。それでも彼女は逆境に負けずピアニストになることを固く誓い、コンクール優勝を目指して猛レッスンに励む。ところが周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件まで発生する――。