第6回『このミス』大賞 受賞作
第6回『このミス』大賞受賞作
『禁断のパンダ』拓未 司
柴山幸太は神戸でフレンチスタイルのビストロを営む新進気鋭の料理人。彼は、妻の友人と木下貴史との結婚披露宴に出席し、貴史の祖父である中島という老人 と知り合いになる。その中島は人間離れした味覚を持つ有名な料理評論家であった。披露宴での会話を通じて、幸太は中島に料理人としてのセンスを認められ、 その結果、中島が幸太のビストロを訪問することになる。一方、幸太が中島と知り合った翌日神戸ポートタワーで一人の男性の刺殺体が発見された。捜査に乗り 出した兵庫県警捜査第一課の青山は、木下貴史の父・義明が営む会社に被害者が勤務していたことをつかむ。さらには義明も失踪していることを知り……。
第6回『このミス』大賞優秀賞
『呪眼連鎖』桂 修司
受刑者の自殺が相次いだ北海道・北見刑務所。自殺を不審に思った遺族から調査依頼を受けた弁護士の伊崎晋介は、独房を視察中に意識を失ってしまう。原因の 分らぬまま逃げるように東京に戻った伊崎の右眼には、不思議な影が浮かび上がるようになっていた。
鎖で繋がれた死体、サーベルを持った男、眼に映 る黒い影……。現代と過去がリンクし、伊崎たちに“呪い”が猛威を振るい始める。事件のカギは、明治維新後の北海道開拓の歴史にあった。
※受賞時のタイトルは『明治二十四年のオウガア』
第6回『このミス』大賞隠し玉
『林檎と蛇のゲーム』森川楓子
交通事故で母を亡くし、父と二人暮らしの珠恵。二週間の海外出張が決まった父が、留守中、珠恵の面倒をみてもらおうと連れてきたのは、水野鈴奈という女性 だった。珠恵は、「パパの恋人かもしれない」という勘繰りから、水野と打ち解けることができず、窮屈な毎日を過ごすことになる。
ところが、愛猫ミ ルクの失踪事件を発端として、珠恵は殺人事件に巻き込まれてしまう。さらには、父のベッドの下から一億円を発見。その隠し金を抱え、水野とともに逃亡しな ければならない事態となり……。