第4回『このミス』大賞 1次通過作品

『殺人ピエロの孤島同窓会』 水田美意子

 『殺人ピエロの孤島同窓会』という題名がこの作品の内容を過不足なく物語っている。孤島で高校の同窓会が開かれ、そこに集まった若者の集団のなかで、ピエロが殺人を繰り広げるという作品なのだ。

 孤島でクラスの面々が一人また一人と殺されていく物語……というと、高見広春の『バトル・ロワイアル』を想起される方がいるかも知れない。たしかにその側面からだけこの作品を捉えると共通点はあるのだが、本書には、あのような仲間内での殺し合いを強要される巨大な権力の存在といったものは希薄。むしろ在学中の恨みを晴らすと宣言し、様々な小細工を弄して人々を殺しまくる殺人ピエロの姿をどっしりとした敵役に据えた連続殺人ミステリと捉えた方がしっくりくる。要するに、古くはアガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』、新しいところではマイケル・スレイド『髑髏島の惨劇』といった趣の作品なのである。そして、この『殺人ピエロの孤島同窓会』は、その両作品とスタイルが似ているばかりではなく、終盤のツイストが鮮やかであるという点でも共通している。

 その上で、若い。幼いのではない。若いのだ。登場人物が若いというだけでなく、筆致も十分に若いのである。リズムもテンポも歯切れもよい。「ら抜き言葉」が数箇所で気になったが、水準以上の筆力といえよう。

 しかもだ。この作品にはもう一つ大きな爆弾がある。読み終えてから知ったのだが、なんと作者は十二歳だというのだ。構成力といい筆力といい、とてもとても十二歳とは思えないのだが……。まあ、作品の選考には年齢は全く関係ない。ただ単純に1次選考を通過させるに値する読書の愉しみを提供してくれた、それだけのことである。それだけで、十分だ。

(村上貴史)

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