第17回『このミス』大賞1次通過作品 ベラドンナの神託

その力は果たして本物か?
未来を視る美しき盲目の巫女・珠名が告げた死の神託の行く末は?
超常現象と謎解きミステリの哀艶たる融合

『ベラドンナの神託』山河珊瑚

 友人のWEBライターに誘われて山腹に建つ御白鍬神社を訪れた医学生・修介は、そこで螺旋状の館・魂結堂に住まう妖しく艶やかな盲目の巫女・珠名にみまえる。彼女が放つ不思議なオーラに強く惹かれるものの、未来を予知するという力には疑念を抱く修介。だが、珠名が彼の亡き母の口癖を口にしたことから信念が揺らぎ出す。一方、元刑事で私立探偵の斑目は、珠名が告げた現市長に対する死の予言を調査すべく神社に赴くが、そこで知人に関わる不穏な予言と奇妙な回避策を告げられ当惑する。珠名は真の霊能力者なのか、それとも稀代の詐欺師なのか? 驚異的な的中率は神意ゆえか、はたまた何らかのトリックがあるのか? 判然としないまま迎えた神社の夏祭りの夜、予言通り惨事が起き、事態は終局に向かって一気に動き出す。
 超常現象と謎解きミステリを巧みに融合した力作です。この手の作品は超常現象の真贋を明かすタイミングが難しく、謎の解明と上手く歩調を合わせないとクライマックスシーンが不完全燃焼となったり、しらけてしまったりしまいがちですが、本作はこの難問を見事にクリアしています。珠名による死の予言は果たして実現するのかという骨太で魅力的なプロットを中心に据えた上で、斑目の過去や、市長の娘が起こしたいじめ絡みの事件、珠名の妹たちが抱える問題といったサブプロットを並行して語り、最終的に一本に収斂させた上ですべての伏線を回収し、意外かつ余韻のある幕引きで締めくくる手際に感心しました。主役の珠名を始め端役に至るまできっちりとキャラクターを書き分けている点、全編にわたって諦念と寂寥感を漂わせる独自の語り口を備えている点もポイントが高く、自信を持って一次通過作として推す次第です。

(川出正樹)

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