第17回『このミス』大賞1次通過作品 殺欲

司法の新制度の設計中に起こる
連続殺人が大量殺人へと繫がって
意外な犯人の恐るべき素顔とは

『殺欲』三井洋

 2027年という近未来が舞台。国立に住む高1の牧本麗華は、7歳で母親を事故で亡くしていて、3月初旬今度は父親がビルから飛び降り自殺をしたと知らされる。父親は歴史学者でコンピューターを使った研究をしていて、裁判改革にも参加し、最高裁職員とも繫がりがあった。司法の膨大な書類を無くしてAIで処理しようとする試みである。葬式に来た職員がいかにもの怪しい行動をとる。
父親の仲間の手助けを得てパソコンのデータから司法の闇の存在を知って調べ始めた麗華には、また別の謎の元同級生が現れたり父親の生前の行動から母親の事故の原因が少しずつわかったりでどんどん謎の数が増える。結局は殺意を抑えられない意外な犯人に結び付いて、解決した後でこれまたもうひとつ裏の真相が現れて終わる。
 とにかく目の前のことを追いかけていくと過去と結びついて思わぬ大量殺人まで発覚する。近未来の時代背景を後半にも少し出して欲しかったのは、なにしろオリンピックから7年経った日本の姿をつい想像してしまうからです。

(土屋文平)

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