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  • 東京タワーが武装集団に占拠された!
    333メートルの“陸の孤島”を舞台に
    老人は孫娘を守るために闘う

  • 『鋼鉄の密林』
  • 塚本和浩
  • 東京タワーが武装集団に占拠された。地上150メートルの大展望台に立て籠もった彼らは、さらに100メートル上の特別展望台に13人の人質を監禁し、随所に爆弾と監視カメラを設置した。リーダーの波野理緒が示した要求は、テレビの生中継――父親を冤罪で自殺に追いやった警察とニュースキャスターに謝罪させること。やがて波野の目的は果たされるが、そこで事態は次のステージに移行する。波野に従うふりをしていた3人が真の目的を明かし、新たな支配者として脅迫を始めたのである。
     東京タワーの“乗っ取り”をモチーフとして、警察や人質たちの死闘を描く正統派のパニックノベル。巻き込まれ型のヒーロー、犯人グループの内紛、警察による潜入作戦(ひとまず失敗)という具合に、いかにもベタな道具立てが揃っているが、それらを無難に束ねた構成力は評価すべきだろう。多彩なピンチを次々に繰り出し、アクションや見せ場を盛り込みつつ、予定調和へと進んでいく明瞭な娯楽性も好ましい。舞台の特殊性をストーリーに活かし、犯人グループの奇抜な目的によって状況を困難にしているのも長所の一つ。リアリティの有無は措くとして、この動機はすこぶる現代的なものといえそうだ。
     あえて弱点を挙げるとすれば、文章のテンポが安定せず、プロットほどには滑らかに流れていないことか。しばしば抑揚の無い地の文が続き、そこで読者の目が停まってしまう。冒頭のツカミの弱さはその弊害だろう。これに関しては可能な限りの改良を望みたい。
  • (福井健太)
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