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  • 父と兄を殺した小学5年生の少女。
    幼馴染の大地少年の前に、少女の兄の霊が現われてから
    周囲で悪質な事件が次々と起こり……
  • 『空と大地と陽気な死体』
  • 田中圭介
  • 「明日雨が降ったら、お父さんを殺す」
     小学校からの帰り道に、五年生の大地少年は幼馴染の少女・空からそう言われた。翌日、雨は降った。空は予告通りに、父殺しを実行した。空が言うには、お父さんが「人間じゃなくなったから」とのことだった。父親だけでなく、空の兄の悟も殺した。大地は空に命令され、穴掘りを手伝い、悟の死体を地中に埋めた。
     その翌日。大地の前に悟が霊体となって現われ、話しかけてきた。悟はなぜ自分が殺されたのか、なぜ霊体の姿で現世に止まっているのか、分からないと言う。
     死者とコミュニケーションを取ることは、誰にでもできるわけではない、特殊な能力だった。実際、空には悟と喋ることはおろか、見ることすらできなかった。
     それ以降、大地の周囲でさまざまな事件が起こるようになった。空とも大地とも仲良しの少女・光の下着が水泳の授業中に盗まれる。クラスで買っていたカブトムシの幼虫が切り刻まれる。チャボが猫に襲われる……。
     大地、空、悟(死者)、そして光を中心に、物語は展開し、そして過去に何があったのか、少しずつ語られていく。やがてキャラクターたちがなぜそのような行動を取ったのか、その理由が明らかになるのだった。この世に残る死者たち、彼らの行動原理、そして大地のようにそれが見える生者……という辺りも面白い。
     犯行の動機(のひとつ)に弱いものがあるようにも思えるが、行間からあふれるパワーは十分、ぐいぐいと読ませてくれる。作者は20台前半。その若さでこれだけの文章を書けるのは大したものだ。  独特の設定、読者をひきつける書き出し、よく描き出された登場人物。どれをとっても、実力十分である。
  • (北原尚彦)
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