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  • 有機化学を専攻する大学院生の初恋を叶えるため、
    突如現れた、謎の女性・カロン。
    ふたりが引き起こす、ドタバタ・ラブ・ストーリー
  • 『有機をもって恋をせよ』
  • 喜多喜久
  • 藤村桂一郎は、有機化学を専攻する大学院生。たちまちにして化学物質の合成ルートを見つけてしまうという稀有な能力の持ち主である。
  • ところが研究室の新人秘書・真下美綾に一目惚れすると同時に、能力を失ってしまう。女性に無縁な生活を送ってきた桂一郎は、どうしていいか分からずに悩むばかり。そんな彼の前に、カロンと名乗る黒衣の女性が現われた。彼女は人間ではなかった。それを証明するように、不思議な力をふるってみせた。そして、失われた桂一郎の能力を取り戻してあげる、と言うのだった。
  • 桂一郎は知らなかった。桂一郎の能力が復活するよう、カロンに依頼した人物がいたことを。
  • 桂一郎が真下美綾と付き合えるようになれば能力は戻るだろう。しかしカロンは不思議な力を持ってはいるが、人の意思を捻じ曲げて好きにさせたりすることはできないので、最終的には桂一郎が実力で真下美綾を振り向かせなくてはならないのだ。
  • 桂一郎は、カロンに強制されて真下美綾に告白する。結果は見事な玉砕だったが、カロンの力で真下美綾からその記憶は消し去られた。
  • 研究室の後輩の女性のはからいで、真下美綾を誘っての合コンがセッティングされる。ところが宴席で、美綾は桂一郎の友人・東間に気がある様子を見せる。
  • その後も、ライバルが登場したり、別な女性と一緒にいるところを美綾に目撃されたりと、危難が相次ぐ。果たして、桂一郎は能力を取り戻すことはできるのか……。
  • ストーリーを紹介すると「願いを叶えてくれる不思議な来訪者」物、もしくは恋愛ドタバタ物であるかのように見えるが、実質的には「桂一郎の能力を取り戻すようカロンに依頼をしたのは誰か」という要素で読者を引っ張っていく、れっきとしたミステリである。紆余曲折の末の結末も、悪くない。総じて、エンターテイメントとしての完成度は充分である。
  • (北原尚彦)
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