第13回『このミス』大賞 1次選考通過作品 春畑行成

未来人に死を予言された「僕」の運命は?
ユニークな設定が冴えるSFサスペンス

『未来人がきた!』春畑行成

 大学生の「僕」こと高木正一は、演劇サークルの友人に思いがけない話を聞かされる。ミスキャンパスの小田美沙希が失踪したらしい。六十年後から来た少女・大塚ハナに”高木と小田は誘拐犯に殺される”と告げられた高木は、事件を阻止すべく調査を始めるのだが……。
 時間SFの手法を活かしたタイムリミット・サスペンスである。殺人を未然に防ぐためにタイムスリップしたハナは、死体の状況や容疑者のデータを持っており、二人はそれを使って”死亡推定時刻”までに犯人を捕らえようとする。謎解きのギミックは平易なものだが、牽引力のあるシチュエーションを用意し、軽快にプロットを進めるエンタテインメント性は高く評価したい。
 高木とハナの会話が(しばしば滑るにせよ)ユーモラスだからこそ、終盤に明かされるハナの真意は印象的で、それが読後感の良さに繋がっている。事後処理やパラドックスに関する疑問はなくもないが、そこを微細に突くのは野暮だろう。読者を楽しませることに徹した娯楽小説として、二次選考に残す価値は十分にある。ただしタイトルには再考の余地ありだ。

(福井健太)

通過作品一覧に戻る
作品を立ち読み